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投稿者:ミカっち
題名:子どもからスタート!

先日、私が非常勤講師を務めている大学の教員からこんな話を聞きました。
「ある病院に入ってきた新人ナースが、患者さんに点滴をする時、おもむろに教科書を出して見始めたのですよ。マニュアルを見て確認したいと言うのです。」
当然すぐに交替したそうですが、さぞかし患者さんは不安だったことでしょう。
知識や技術はもちろん必要ですが、もっとも大事なことは、患者さんに安心して治療を受けてもらうことです。不安を感じていては、病気を治そうという気持ちにさえ溝を作ってしまいかねません。目の前の患者さんが何を感じ、何をしてほしいのか、そこを考えるところからスタートしなければ、信頼関係も築けないでしょう。いくら上手に点滴を打てても、患者さんを不安にさせては元も子もありません。

似たようなことは、親子関係にも言えます。
親御さんに、お子さんとのかかわりについてお話しすると、時々、「育児書にこう書かれていました。書かれていた通りにやったけどうまくいかないのです。」という方がいます。
育児書通りに子どもにかかわり、結果的に親子関係に溝ができてしまっていることも少なくありません。子どもは一人ひとり違います。まずは、自分の目の前にいる子どもが、どういう状態にいるのか、何を求めているのか、そこからスタートしなければ関係づくりは難しいでしょう。
まだ発語のないお子さんに「ちょうだいでしょう。○○ちょうだいって言ってごらん。ほら。ちょ・う・だ・い、は?」とことばを強要したり、矢継ぎ早に話しかけたり、そんな光景を目にすることがあります。
「育児書にたくさん話しかけましょうと書かれていました。」「ことばはお母さんが教えるものです、と書かれていました。」という理由で、子どもにことばを求めているのです。
でもそれを行ったことで、子どもはますますしゃべらなくなってしまいます。
なぜなら、しゃべることが楽しいと思えないからです。
ことばを話すためには、まずは子どもに「しゃべりたい」という気持ちを持ってもらうことが大事なのです。穏やかな信頼関係の中で、相手(大人)に要求をしたり、共感をしたりすることで何かを伝えたいという気持ちが育ってきます。それは、ことばではなく、相手の目を見たり、手をとったりという、その子なりの表現でよいのです。大切なのは、その気持ちをこちら(大人)が汲み取ってあげることです。「おいしいねー」「○○がほしいのね」「あっちいきたいのね」など、子どもの気持ちを代弁してあげればよいのです。その経験を積むことで、子どもは相手に何かを伝えたいという気持ちを持つようになるのです。

長くなりましたが、大事なことは「はじめにマニュアルありき」ではなく、「はじめに子どもありき」だということです。まずは、目の前のお子さんをじっくり見てください。自分の型にはめようとしていないか。子どもからスタートしているか。そこに視点を置くといろいろなことが見えてくると思います。

2015年11月01日