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投稿者:カトちゃん
題名:ビリーブの目指すもの!

これまで何度も触れてきましたが、ビリーブでは何より楽しい雰囲気の中で授業を行うようにしています。
それは、子どもの発達にとってもっとも大切なことだと考えているからです。
いくらよい指導でも、子どもの意に反した訓練で身につけた力は、実はとてももろいもので、いろいろなところでひずみとなって現れてしまう…そのことを私たちは多くの経験から学んできました。
全くどこにでもある日常の場面で、その子がもっているもっとも素敵な自分を発揮できないということが多々見られるのです。

訓練的に身につけてきた子に見られる様子として、以下のような事柄が挙げられます。

・できる、できないにばかりこだわってしまい、あるいは人の目ばかり気にしてしまい、活動そのものを楽しんでいない。
・ちょっとでもできないとくさってしまい、他の人の意見やアドバイスがなかなか受け入れられない。
・他の子が失敗したときに、嘲笑的に笑ったり、逆に目もくれずに自分の順番のことばかり考えている。
・課題を終わらせることに終始し、経過を楽しむ余裕がない。
・同じ条件が揃っていればできても、環境が少しでも違うと戸惑ってしまい、課題をスムーズに解決できない。
・ご褒美(見返り)が目的になり、目の前の活動自体を楽しめない。

上記のような様子が見られる中で、子どもが何かできるようになること(スキルの向上)は本当に大切なことなのでしょうか?

ビリーブでは、子どもが身につけるべき力を以下の14点とし、一人ひとりの子どもの発達段階に応じて、課題内容を考えていきます。
つまり、上に上にと向上させることばかりを目指すのではなく、同じような活動を繰り返し行うことで、子どもの力を縦ではなく横に広げていき、それが結果的にエネルギーの蓄積となって縦の向上につながるという考え方です。

例えば、ある子どもは空間構成が苦手で、ブロックの見本合わせが難しかったのですが、その場合にブロックの活動だけを行うのではなく、次のような内容を組み合わせて行う中で、その子は本物の力を身につけていくことができました。

@積み木を積み上げる
A階段状になった音積み木をドレミファと順番に叩いて演奏する
B他にもさまざまな空間把握を要する教材を経験する

このような経験の中で、前述の子は約3ヵ月後には、それまで全くできなかったブロック5個の組み合わせ(5色、ずれて積み上げる形の見本合わせ)が上手にできるようになっており、しかもスタッフや保護者と一緒に行うのが楽しくて仕方ないという様子を見せてくれるようになっているのです。
この「ねえ、見て見て」(Showing)の成立をビリーブではとても大切にしています。
何かができるようになるだけでなく、学習を通して目の前の大人との関係作りを行っていくわけです。
それがなければ、ただの訓練になってしまいます。
だから、ビリーブで育った子は、訓練的に育った子に見られる様子は全く見られないのです。
皆のびのびしていて、失敗することを恐れずにチャレンジしています。
そうです。
ビリーブは子どもが数多くの失敗をする場であって、そのことを無理に修正するのではなく、気づいてもらったり、他の活動に置き換えて練習してもらったりしながら、何よりも目の前の大人と一緒に問題を解決していく場なのです。

参考までに、以下にビリーブで行っている14点の柱と活動例を紹介させていただきます。

◎子どもの育ちに必要な14の柱

1.身体受容(身体への受け入れをスムーズにする、対人関係がスムーズになる)
 音楽療法(身体接触遊び、楽器活動)など
2.空間・位置(空間を構成する力・位置を把握する力を身につける)
 空間構成(ブロック大・小)、積み木(自由遊び、見本あわせ)、音積み木(階段)、など
3.手指の操作性・姿勢(両手を協応させて手指を操作する力を養う、姿勢を保持させる)
 洗濯バサミ、ピンセット、箸、粘土遊び、折り紙、ビー玉、コイン入れ、はさみ切り、こままわし、ようじ入れ、ひも通し、シール貼り、など
4.視覚−運動(見ながら操作する力・運動をコントロールする力を身につける)
 線なぞり、線結び、ぬり絵、玉ころがし、など
5.視知覚弁別(見分ける力・見比べる力・文字獲得に必要な力を身につける)
 模写、同じ形結び、同じ形探し、地図遊び、パズル、玉通し(見本あわせ)、図と地、かたち合わせパズル、どんな形になるのかな(折り紙)、など
6.身体像・模倣(ボディイメージの力や動作模倣の力を身につける)
 ボディイメージ遊び、身体パズル、動作模倣、旗揚げゲーム、ジェスチャーあてゲーム、背中からタッチ、ダンス、など
7.発声・構音(発語を促進させる、発音が明確になる)
 音楽療法(吹く楽器)、音声模倣、口形模倣、など

8.記憶(視覚記憶・聴覚記憶・短期記憶・長期記憶を高める)
 記憶課題(視覚系)、音あてクイズ、曲あてクイズ、ミュージックベルの演奏、パネルシアターの神経衰弱、打音(叩いた数をあてる)、わらべ歌の記憶、など
9.聴覚−運動(聴きながら操作する力・リズムに合わせて運動する力を身につける)
 音楽療法(打楽器のリズム打ち、5穴ハーモニカ、キンダークラリーナ、音積み木、ミュージックベル、トーンチャイム、合奏)など
10.聴知覚弁別(聴き分ける力・音節を理解する力を身につける)
 音あてクイズ、曲あてクイズ、似たことばさがし、同じ音さがし、音階遊び、など
11.言語・概念(ことばの基礎・応用の力を身につける、概念を形成する力を身につける)
 文章記憶、絵画完成、絵画配列、文字への関心、スリーヒントクイズ、連想ゲーム、絵カードしりとり、文字パズル、文字を順番につなぐ、買い物ごっこ、形容詞を用いた文章カード、絵本の読み聞かせ、お話リレーゲーム、話の順序、シャレ遊び、音節分解のすごろく、ことばのカルタとり、ことばの置き換えゲーム、など
12.イメージ(視覚・聴覚イメージを豊かにする、臨機応変の力を身につける)
 触覚ボックス、これなあに(象徴遊び)、絵描き歌、ひもでお絵描き、影絵、ジェスチャーあてゲーム
13.数の概念(数の学習の基礎・応用の力を身につける、概念を形成する力を身につける)
 どんな色かな、大きさカップ、マトリックス課題、大きな数を数えよう、サイコロゲーム、打音(数あて、どんどん増える・減る)、動物アパート(〇階の真ん中、など)、仲間集め、系列化ゲーム、5飛びの数、時計のつくり、同じ・違うの区別、長さ・重さ(はかり)、上下・左右の比較、など
14.協調性・社会性・適応性(コミュニケーション能力を高め、対人関係を豊かにする)
 音楽療法(合奏、歌唱、楽器のやりとり)、フープ競争、ステッキ(棒)立て、ふうせんバレーボール、ふうせん回し、たんていごっこ、いすとりゲーム、転がしドッチボール、
フルーツバスケット、黒ひげ危機一髪ゲーム(市販オモチャ)、など

なお、上記の14の柱は、以下のようにまとめられます。

<身体系> 1(身体受容)、2(空間・位置)、3(手指の操作性・姿勢)、6(身体像・模倣)
<視覚系>  4(視覚−運動)、5(視知覚弁別)、8(視覚記憶)
<聴覚系>  7(発声・構音)、8(聴覚記憶)、9(聴覚−運動)、10(聴知覚弁別)
<概念形成> 11(言語・概念)、12(イメージ)、13(数の概念)
<社会性>  14(協調性・社会性・適応性)

これらは、おおまかには、次のような流れになっています。

<身体系>→<視覚系><聴覚系>→<概念形成>→<社会性>→<学校・幼稚園生活の充実>→<将来の自立=自分らしい生き方>

2007年9月18日

 

投稿者:カトちゃん
題名:続・セッションを楽しみにしてくれる子どもたち

ビリーブでは何よりも楽しい雰囲気を大切にしています。
このことは、これまでも何度もブログや質問コーナーに書かせていただいています。
もうしつこいくらい書いていますが、それだけ大切だと考えているからです。
子どもは「楽しい雰囲気」「安心できる環境」で育つ。
どんなに素晴らしい課題でも、嫌々では身につかない。
このことは、いつもビリーブのすべての子どもたちを見ていて、強く感じることです。

ハンディのあるお子さんは、ややもすると「もっと頑張りなさい」「そうじゃない、こうするんだよ」「そんなことしちゃダメじゃない」などと、日頃から必要以上に励まされたり、指示されたり、注意を受けたりすることが多いようです。
あるいは、クラスの中で精一杯頑張っていて、知らぬうちにストレスが溜まってしまうこともあるでしょう。

子どもたちはビリーブに来ると、教室に入ってくるやいなや満面の笑顔を浮かべ、心から安心して過ごしてくれます。
とにかく、ビリーブの子どもたちはよく笑います。
皆が皆安心しているので、私やスタッフにも躊躇なくかかわってきます。
多少やんちゃなくらいかかわってきます。
でも、それでよいと思っています。
子どもたちは、ここではこう振舞えるとわかりながら、自分らしさを思う存分発揮しているのですから。

子どもたちが笑うからスタッフもよく笑います。
時に、お腹を抱えて、しばらくの間子どもと爆笑することもあります。
そんなとき、保護者の方は心からほっとされている様子で、きっと保護者の方もそのような時間を求めておられるんだなぁと感じるのです。

私は育ちが関西(西宮=甲子園の街です)で、その関係からか、あるいは生来の性格からか、授業の随所に笑いを入れたいと思っています。
しかし、いつも笑っているわけではありません。
本当に頑張っているときには子どもは笑わないのです。

だから頑張ったあとに、思い切りリラックスして、笑う時間を設けたいと思っているのです。
子どもによっては、声を出して笑うのではなく、ニコニコしながら「全く、またやってるよ。加藤先生は〜。」と見ている子もいます。
そのことは、私を心から癒してくれます。
表現は一人ひとり違うのですから、それでいいと思います。
少なくともそこには自分以外の人と共感する気持ちがとてもよく見えています。
そして、共感こそ人が生きていく上でもっとも大切なものだと思うのです。

横浜市の中田宏市長が、著書の中で次のようなことを述べています。

「仕事というのは政治家も医師も主婦もすべて根っこのところは同じで、『相手の気持ちに共感する』ことを学ぶ修行である」

ビリーブでは、これからも、一人でも多くの子どもたちが安心して自分自身を発揮し、皆と共感できるような雰囲気作りを丁寧に行っていきたいと考えています。

2007年9月11日

 

投稿者:カトちゃん
題名:2学期もよろしくお願いします!

8月の中旬には信じられないくらい暑い日が続いたこの夏も、そろそろ終わりの気配が見えてきました。
長かった夏休みも終わり、いよいよ2学期のスタートです。
休み中、各ご家庭では、お子さんたちの過ごし方にいろいろな工夫をされていたことと思います。
余りある時間を有効に過ごすというのは、私たち大人にとっても並大抵のことではありません。

ビリーブではお盆開けに授業がスタートし、久しぶりに皆さんの顔を見ることができました。
やっぱり一緒に過ごす時間はいいですね。
今日9月1日は、土曜日ということもあり、たくさんのお子さんたちと充実した時間を過ごすことができました。
スタッフは皆、子どもたちと過ごす時間が1分でも多いほど嬉しいことはありません。

そんな私たちスタッフですが、授業がない日にも教室に集まり、これから行う授業のためにいろいろな準備をしています。
そして、特に大事にしているのは、授業後の記録をまとめることです。

※Aちゃんの動作模倣(〇月〇日)
【子どもの様子】グーパーなどの連続した動作の模倣は即時的にできるが、チョキや指を1本ずつ開いていく動作は部分的にできるものの、途中混乱してしまう。
ボディイメージは、日常的に使ったり耳にする部位はよくわかっている。
「右ひざを手で叩いて左ひざを上げる」などの連鎖した動作は難しい。
【分析】相手と同じ動きをしようとする気持ちが見られる。自分の得意な動作や日常的な動作は比較的スムーズに模倣する。細かい動作はやろうとする意欲は見られるものの、時間がかかったり部位がわからなくなってしまう。
【今後の活動例】
音楽に合わせて大きな動作(頭肩ひざポンなど)を中心に、ゆっくり〜速く、行っていく。細かい動作は、動きを単純化したり(指を1→3本出す、を繰り返す)、作った形を机に乗せて終点を作るなどしながら、できる活動を増やしていく。
訓練的にならないよう、相手と一緒に行うことが楽しいという雰囲気を大切にしていく。
(先日、明治図書のブログに載せたものです)

いかがでしょうか。
このように、子どもたちの1つ1つの事象について、細かく分析することで、次の授業で何をすればよいのかがはっきりと見えてきます。
それまでぼやけていた部分が焦点化されて、授業の内容はもちろんのこと、お子さんへの援助方法(声かけ、視覚的援助など)、お子さんが戸惑ったときに用意する別メニュー、など、たくさんのことが明確になってきます。

そのため、翌日の授業の準備のために何時間もかかることが多々あります。
熱中していると、数時間なんてあっという間に過ぎてしまうのですね。
その時間は、私たちにとって決してつらいわけではなく、子どもたちとよい時間を過ごすためのワクワクした時間となっているのです。

一人ひとりのスタッフが、お子さんに対する愛情だけでなく専門性も高められるよう、今後も努力を惜しまず、お子さんたちの将来のためにお手伝いできる力量を備えていきたいと思っています。
すでに、この数ヶ月で大きく伸びたスタッフもいます。
個人の努力もありましたが、もっとも大きいのはお子さんたちのお陰であるということ、つまり私たちは常に子どもたちに育てられているのだという気持ちを持ちながら、これからも毎回の授業&セッションを大切にしていきたいと考えています。

追伸です。
近日中に、スタッフ紹介を追加する予定です。
いつも私とミカっちだけでは飽きてしまいますよね。
新しい顔ぶれの登場にご期待ください。
写真も新しく撮る予定です。

2007年9月02日