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題名:ある活動の風景
ジュニアクラスの授業で「○のつくことば」という活動を行っています。○に好きな音を入れて次の人に提案し、提案された人はその音から始まることばを考えます。そしてまた次の人に、今度は先ほどとは違う音を提案します。提案する人は、リズムに乗って歌うように言います。ことばは書いて言うのではなく、何も見ずその場で考えてすぐに答えるので、大人でも咄嗟に出ず、慌ててしまうことがあります。一見しりとりと似ていますが、何の音を提案されるか直前まで分からないので、実はとても難しい活動なのです。
この活動では、音韻の意識、語想起(ことばを思い出す)、即時反応などの力を養うと同時に、表現力やコミュニケーション力も身につけていきます。
即時的に答えていく活動ですが、すぐに分からないときは、じっくり考えてもらいます。その時間は皆も待っています。そして、それでもどうしても分からないときは、少しヒントを出します。
やり方はこんな感じです。
先生「今日は先生からいくね。あのつくことば、あのつくことば、あ、あ」
A「あひる。けのつくことば、けのつくことば、け、け」
B「けんだま。ふのつくことば、ふのつくことば、ふ、ふ」
C「ふ、ふ・・・分からないな・・・。う〜ん・・・。」
先生「じゃあ、ヒントね。海に浮かんでて、人が乗ったり・・。」
C「あ!ふねだ。ふね!ものつくことば、ものつくことば、も、も」
D「も・・・・ものほしざお!じのつくことば、じのつくことば、じ、じ」
あるクラスで行ったときのこと。
人前で話をすることがちょっぴり苦手なEくん。普段は、担当スタッフの問いかけに、首を横や縦に振ったり、アイコンタクトで答えたりしています。楽しい雰囲気が好きで、友だちと直接話すことはなくても、誰かがギャグを言ったり、ふざけたりするのを笑って見ています。この「○のつくことば」の活動でも、他の人の発言が面白いと、一緒に笑っていました。しかし自分の番になると、ことばを思い付いても、声に出して言うことができず、スタッフに口形で伝え、スタッフが代弁するという形を取っていました。そして、何回目かのある日、とても小さな声でしたが、隣にいるスタッフと一緒に声に出して言うことができました。さらに先日は、遠くの人にも聞こえるようなはっきりとした声で言うことができたのです。本人はとても誇らしげな顔をし、周りの皆も一緒に喜びました。なかなか声に出せなかった彼を、周りの子どもたちや大人、皆が認め、じっくり待っていた結果だと思います。このような出来事の繰り返しが、彼に少しずつ自信を付けてくれると信じています。
別のクラスの授業でのこと。
ひょうきんで皆にやさしい、人気者のFさん。自分の次の番の子が、この活動がちょっと苦手なことを知っています。提案したのは「あのつくことば」でした。提案された子は、しっかりと答えられました。次に順番が回ってきたときに、急に先生が間に入りました。すると、なんと「ちゅのつくことば」と提案したのです。これには一同大爆笑。先生は「ちゅのつくことば???う〜ん・・・」と頭を抱えてやっとの思いで「ちゅうしゃ」と答えました。「ちゅうりっぷもあるよ」とGくん。当のFさんは「ちゅうごく!」と発言。しかし、相手によって提案する音を変えるなんて、とてもびっくりすると同時に、彼女のやさしさを感じた瞬間でした。
ひとつの活動から、いろいろなドラマが生まれます。子どもたちは本当にたくさんの可能性を秘めていて、その力を発揮するときを待っています。私たちができること。それは子どもたちが発揮しやすい環境を整えることだと思っています。常に縁の下の力持ちでなければいけないと感じます。
2007年11月01日
投稿者:ミカっち