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投稿者:カトちゃん
題名:耳ふさぎをするのは、音楽が嫌いだからって言うけれど…

子どもとかかわる専門家の人たちの中で、よく「耳ふさぎをする子は音楽が嫌いだから…」という話を聞くことがあります。

先日も音楽療法を専門にしている人が、「○○ちゃんは音楽が嫌いだから。だって耳ふさぎをするんだもの」と自信たっぷりに語っていました。

本当にそうでしょうか?


私の経験では、耳ふさぎをする子は音楽が好きな子が多い…しかも、あまりに好き過ぎて、音やメロディ、リズムに敏感過ぎるゆえに、耳ふさぎをしながら音量を微妙に調整していることが多い…というのが偽らざる実感です。

その証拠に、もしその子たちが本当に音楽を嫌いならば、自分たちが出した音に対しても嫌悪感を示し、あるいは逃げ出してしまうはずです。

しかしながら、耳ふさぎをしている子は、例えば、自分でシンバルやスネアドラムを叩くと、大音量にもかかわらず、満足そうに叩き続けていることが多いのです。


ある場面で、耳ふさぎをする子がいたとします。

その子が聴いている音や音楽の音量を下げ、ごく小さい音から提供してくと、耳ふさぎをやめて、じっとその音に聴き入るということが多々見られます。

そのとき、音量だけでなく、楽器の種類も少なくしていきます。

つまり、情報を極力減らしていくわけです。


その音を、急に大きくすると、やはり耳ふさぎをしてしまいますが、そうはせず、小さい音のままでその時間を終わらせていくのです。

次の時間も小さいまま、その次の時間も小さいまま…そして、ある程度月日を経てから、徐々に音を大きくしていきます。


そうすると、どうでしょう。

最初は、耳ふさぎをしていた子が、何でもない顔をして、その音楽を受け入れ、楽しそうに体を揺らしている…。

私はそういう光景を何度も見てきました。


子どもたちは、見たくないものは目を閉じるという方法で防御することができますが、聴きたくないものを防ぐためには「耳ふさぎ」という方法を取らざるを得ません。

しかも、目と違って、耳はどんなに一生懸命閉じても、すべての音をシャットアウトすることは困難です。

つまり、音は暴力にもなりうるのです。


だからこそ、私たちは子どもに音や音楽を提供するときには、極力丁寧さを要求されるわけです。

いきなり大きな音を出したり、大声でしゃべったりしていないか。

常に自問自答しながら、子どもとかかわっていく必要があるのだと思います。

そうすれば、耳ふさぎをしている子を、すぐに「音や音楽が嫌い」と決めつけることはなくなるでしょう。

本当に嫌いなら、その場から逃げ出してしまうはずですから!

2011年2月06日