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投稿者:カトちゃん
題名:ビリーブがスタートして1年半が経ちました
ビリーブがスタートして早1年半が経ちました。
その間、本当にいろいろなことがありました。
設立当初から常に一番に考えていたことは、これまで自分たちが教員経験や音楽療法で培ってきたものを、全般的な発達支援という形で何とか地域のお子さんたちに還元したいという気持ちです。
このミッションを常に念頭に置きながら、日々の授業やセッションを丁寧に行うよう心掛けてきました。
そして現在、お子さんが順調に増えてきた背景には、保護者の方の温かいまなざしがあったからだと確信しています。
いろいろなお子さんがいますから、すぐに授業に馴染めるケースもあれば、多少時間がかかることもあります。
子どもが情緒的に不安定になったときでても、保護者の方が動揺を全く見せず、お子さんに寄り添っていただいたことには、本当に頭が下がる思いです。
子どもの小さな不安に反応しないということがいかに大切かということを改めて学ばせてもらった気持ちでいっぱいです。
おそらく、そのときの保護者の方は、場合によっては、子ども以上に不安な気持ちだったこともあるでしょう。
本当にお母さん、お父さんは命がけで子どもを育てており、微力ながらそのお手伝いをさせていただくことの大切さを日々感じながら仕事をさせていただいています。
私たちの指導スタイルも日々変化しています。
もちろん、土台となるものは変わりませんが、これまで音楽療法を中心に行っていたものが、この期間にそのよさを大いに取り入れながらも、発達支援全般に移行したということははっきりと言えることだと思います。
音楽療法は私たちにとって大きな武器になっていますが、音楽療法の手法を使わない時間が大幅に増えています。
なぜなら、音楽療法以外の手法の中にも、発達支援にとってより自然で適切な手法がたくさんあるからです。
私自身は、人と人とが生でぶつかり合い、やりとりを行うタイプですから、以前から音楽があるなしに関係なく、目の前の子どもと関係作りを行うことを目指していました。
臨床場面では、ほとんど音楽を使わない時間も増えてきました。
今、執筆中の本も、いろいろな遊びを紹介した全般的な発達支援のものですし、それだけ自分自身も何かに囚われず、大事なものはどんどん取り入れようというスタイルになってきたのかも知れません。
日々考え、子どもたちからもたくさん学び、細かい段階の教材を作りながら、何よりも子どもとの関係性を重視する。
それが、1年半経ったビリーブの姿と言えるのかも知れません。
多くの皆さんに支えられ、このような活動を思う存分行えることを、心より感謝申し上げます。
2008年11月17日
投稿者:カトちゃん
題名:席に座らせるということ
私は、臨床場面で子どもが席立ちをしたときに、無理に座らせることをしないようにしています。
もちろん、少しのことばがけや身体援助で座ることが可能であれば、あるいは次に行うことを示し見通しを持てることで着席できる子であれば、積極的に席に座ってもらうように働きかけます。
しかし、そういう諸々の事情を無視して、闇雲に子どもを座らせるという、形から入る臨床は行っていません。
なぜなら、子どもはどのようなタイプの子でも、きちんと向き合って、座ることの意味をわかってもらうよう、時間をかけてアプローチしていけば、ちゃんと座ってくれるようになるからです。
今日も、人見知りが激しいGくん(4歳)がやってきて、最初は着席をしませんでしたが、「そうか、そうか」「それなら、座る必要ないよね」と立ったまま、あるいは床に腰を下ろしたまま、歌を歌ったり楽器を奏でたり、ボールを転がしたりしていました。
そして、ある程度やりとりを行った後に、机の上で行う活動を取り入れると、Gくんは促されてもいないのに着席し、私が行うことをじっと見つめていたのです。
その際でも、私が必要以上にかかわろうとすると、片足を下につき、いつでも降りられるような態勢で活動に臨み、私がアプローチを足りない程度に行うと、体をグッと乗り出してきて、どかんと安定して座っていたのです。
Gくんはビリーブに通室し始めてまだ2〜3ヶ月ですが、最初の頃の全く着席できなかったときに比べると、段違いに着席時間が増えています。
大事なことは、臨床家が決して焦らないということだと思います。
座らせようとすることよりも、子どもと関係を作ろうとした方が、余程子どもは座ってくれるようになる!
私は今まで数多くの子どもから、そのことを教えてもらってきたのです。
ビリーブはお蔭様で子どもがいっぱいになりました。
(キッズ、ジュニア、音楽療法とも定員に達しています!)
日によってはお昼を食べる時間もないほどですが、そうやってたくさんの子どもと接することができて、本当にしあわせです。
保護者の方には、日頃からいろいろとご協力いただき、心より感謝申し上げます。
2008年11月14日
投稿者:カトちゃん
題名:いろいろな課題を体験すること!
ビリーブにはたくさんの教材・楽器があります。
教材が100種類以上、楽器も100種類以上、そしてプリント類も100種類以上。
そして、その数は日々増え続けています。
なぜ、こんなにたくさんあるのか…?
それは、子どもたちの発達にとって、ひとつの課題をとことん突き進めるよりも、似ている課題をたくさん行う方が有効だからに他なりません。
子どもは、ほんの少し違う課題に出合った時、それまでとやり方を変えるわけで、この「変える」という行為が極めて大切になってきます。
例えば、算数の学習で毎日足し算を行っている子がいるとします。
その子に、次のような問題を提示してみます。
@かごにりんごが4つ入っていました。
Aおかあさんがスーパーでかってきて、2つ入れました。
Bかごにはりんごがいくつあるでしょうか。
このとき、子どもによっていろいろな反応が見られます。
そして、計算がスラスラできる子でも、なかなか意味がわからず、戸惑ってしまう子が思いのほか多いことに気づくのです。
そんなとき、@から順に簡単な絵を描いてもらいます。
そうすると、子どもがどこでつまずいているかがわかるのです。
これなどは、計算ができるからと言って、ドリル式に足し算を繰り返すだけでは、本当の意味で算数がわかっていることにはならない、典型的な例だと思います。
他にも、バチで太鼓を叩くという活動を行うときにもいろいろなケースが見られます。
小太鼓なら伴奏に合わせて上手に叩ける子も、シンバルになるととたんに混乱してしまい伴奏を無視して強く叩き続けることが多く見られます。
叩いたときの感覚の違いから、情緒面での不安を誘ってしまうのかも知れません。
そんなときは、小太鼓→ハンドドラム→パドルドラム→オーシャンドラム→中太鼓→大太鼓→スリットドラム…と叩くものの種類を徐々に変えていくと、シンバルに到達したときにさほど混乱せず叩けるようになることも多いのです。
そして、もっとも効果が出やすいものの1つに笛が挙げられます。
笛を吹くという活動は、ことばが出にくかったり、発音が不明瞭なときに大いに役立ちます。
子どもの中には、口にくわえるという行為が嫌で(感覚の受け入れが苦手)、笛を吹くことを嫌がる子もいて、そんなときは嫌がっている1つの笛を何とか吹かせようとするのではなく、いろいろな種類の笛を提供してみることがとても有効です。
つい最近も、何種類か試した後、これなら、という笛に出合って喜んで吹くようになった子がいました。
ハーモニカ、クワイアホン、スライドホイッスル、水笛、擬音笛、キンダークラリーナ、などビリーブには吹く楽器がたくさんあります。
このように、教材の種類が多いということは、子どもの発達にとって圧倒的に有利な環境を作り出すことが可能になってきます。
もちろん、どんなものでもただ提供すればよいというわけではなく、目の前の人との関係性があって学習は成り立つものです。
関係作りはビリーブでもっとも重視している点ですから、それと併せて教材の多さが、子どもを成長させる大きな要因になっていると、私たちは考えています。
2008年11月08日
投稿者:ミカっち
題名:ちょっとのこと
授業後などに保護者の方とお話をするのですが、「ちょっとのことなのにあるとないでは大違い」という出来事をよく聞きます。
「ちょっとのこと」すなわち「少しの支援や配慮」です。
例えば、ある保護者の方のお話から・・・
学校の掃除の時間、Aくんはいつも掃除場所からいなくなってしまいます。先生は、Aくんは掃除が嫌いでさぼっているのでは、と思いました。そこでAくんを呼んで、なぜ掃除をしないのか聞いてみました。するとAくんは「掃除の仕方が分からない。」と答えました。先生は廊下を掃いて見せ、「こうやってやるのよ。」と教えました。でも、次の日もAくんは掃除をしませんでした。何度かこのようなことが続き、先生は困って保護者に報告をしました。
その話をAくんのお母さんから聞いた後、私たちから少しだけアドバイスをさせていただき、先生に掃除カードを作ってもらうことにしました。掃除場所の絵と掃除の手順を、簡潔に分かりやすく番号を付けて書いてもらったのです。
周りの子どもたちは、当たり前のように行っていることでも、Aくんには‘どこからどこまでを(=何本目の柱から何本目の柱の間)’‘どういう方法で行い(=右から左に向かってほうきで掃く)’‘終わったらどうするのか(=掃いた後のゴミはちりとりに入れてゴミ箱に捨てる)’という手順が分からなかったのです。
Aくんは、カードを見て1番目が終わったら2番目を確認する、2番目が終わったら3番目・・・というように一つずつ順を追って最後まで掃除をすることができたそうです。そして、最近ではカードを見なくてもできるようになったとのことです。
周囲の人が感覚で理解し行っているようなことが、実は子どもたちにとって非常に分かりにくく、過ごしにくい環境となっていることが多くあります。
例えばビリーブの授業でも・・・
椅子に座る姿勢を保つことが難しいBくん。すぐに机につっぷしたり、椅子から降り床に寝そべったりしてしまいます。そこで、具体的に「この○○のお話を1回読む間、背中をまっすぐにして座っていよう。」と声をかけ、1回読み終わったら楽な姿勢(予め約束をした姿勢)を取ってよいことにしました。初めは短い時間からスタートしましたが、今ではだいぶ長く姿勢を保てるようになりました。この場合、いくらBくんに「ほら、ちゃんとして。」と(漠然と)言っても、姿勢を保つことは難しかったでしょう。もちろん、姿勢の保持には情緒面や空間認知の力や筋力なども関係していますので、合わせて他の活動も行っています。
子どもにどう伝えればいちばん分かりやすいのか。それは子どもによっても、場面によっても異なります。ただ一つ共通して言えることは、私たち大人は、自分の視点ではなく子どもの視点に立って考えなければいけないということだと思います。「ちょっとの配慮」が、実は子どもの生活にとって「大きな手助け」になることが多いのだと実感しています。
2008年11月01日