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投稿者:ミカっち
題名:印象に残った話B

印象に残った話の最後は、精神科医の香山リカさんです。
香山さんは、精神科医として勤務される傍ら、大学でも教鞭をとられています。
また、著書も数多く出版されており、最近では「しがみつかない生き方」という本がベストセラーになっています。

講演では、香山さんが精神科医になった理由から、最近の若者の置かれている状況まで、多岐にわたってお話されました。

その中で、私の胸に強く響いたことばがあります。
それは、「幼児期から学齢期の、子どもさんとかかわっておられる皆さんがうらやましいです」という一言でした。

香山さんがかかわっておられる患者さんは、成人の方です。
大人になってから精神科を受診される人の多くは、子どもの時に肯定された経験が少ないそうです。
いつも「ダメだ」と否定ばかりされ、子ども時代を自信のないまま過ごしていたのだそうです。
就職してからもうまくいかなく、最終的にはウツの状態になり病院に来る、という人が多いようです。
そのような状態になってきた患者さんには、「今」を肯定してあげることはできても、遡って子ども時代を肯定してあげることはできない。
つまり、「根治」ができず、「対処療法」になってしまうということなのです。
ですから、上記のことばには、「まさに今子どもと接して、褒めてあげることができる皆さんがうらやましい」という意味が含まれているのです。

子どもは褒められて育ちます。
けなされて育ちません。

ある学校で通常学級の授業を見学したときのこと。
そのクラスにはADHDのお子さんが在籍していました。

担任の先生は、そのお子さんに対し、数え切れないほどの注意のことばを発していました。
「姿勢が悪いです」「今はその話は関係ないです」「うるさい」「他の人に迷惑です」「早く板書をしなさい」等々。
反面、褒めることばが一つもありませんでした。

よく見ていると、そのお子さんはずっと動いているわけではなく、静かに、よい姿勢で取り組んでいる時間もあるのです。
その時には先生は全く無視です。
私はとっても残念だと思いました。
お子さんが頑張っているときに「よい姿勢でいいね!」とか「静かに頑張ってて偉いね!」など、一言でよいので声をかけてもらえれば、だいぶ状況は変わるのに・・・と。

ビリーブでも、この「褒める」ことをとても大事にしています。
もちろん、よくない行動をとった場合、叱ることもあります。
でも、叱ったあとは、必ず褒める場面を作ります。

子どもとかかわっている人には、ぜひ「褒める」ことを意識して欲しいと思います。
どの子にも必ずよいところがあります。
私たちセラピストは、子どものよいところをたくさん見つけ、ことばや行動につなげていきたいですね。

〜おわり〜

2009年11月29日

 

投稿者:ミカっち
題名:印象に残った話A

前回の市川拓司さんの話に引き続き、講演で印象に残った話を載せさせていただきます。

●高山惠子さん

高山さんは、『NPO法人えじそんくらぶ』の代表で、ご自身がADHDであることから、その経験と専門的な知識を生かし、ADHDを持つ人々の支援に力を注がれています。

高山さんは、発想力があり、アイデアがどんどん思い浮かぶけれど、それをまとめることが苦手だそうです。
そのため、思いついたことはその場でメモにし、あとから文にまとめています。
その際、漢字を思い出そうとしたり、誤字や文字の乱雑さなどに気を配っていると、せっかくのよいアイデアを忘れてしまうので、そこは気にせず、とにかくどんどん書き留めるそうです。

ビリーブでも、あるテーマについて思いついたことをたくさん書いてみる、という授業のとき、そこに誤字や文字の乱雑さがあっても指摘はしません。
そこで、指摘することは発想を邪魔することになってしまうからです。
一つの目的(発想力)を求めるとき、別の目的(正しく書くこと)を求めてしまうと、子どもは混乱します。
例えば、逆に、書字の正確さを求めるならば、想起することは求めません。

高山さんのおっしゃったことで、特に印象に残っているのは「ダメなことを、ユニーク・おもしろい・かわいい、など、ポジティブなことばで言ってもらえたとき、私は変われた」ということばです。

子どもは(大人もそうですが)、ダメだダメだとけなされてばかりいると、自己価値をどんどん低めてしまい、やる気をなくしてしまいます。
そして、物事(活動)に、まっすぐ素直に向かうことができなくなってしまいます。

そのため、高山さんの実体験から語られた、上記のことばは、とても説得力があるものでした。


〜つづく〜

2009年11月01日