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投稿者:カトちゃん
題名:『1年間のまとめは詳細な文書でお渡ししています』

新しい年度が始まり、早1か月半が経ちました。

いくつかグループが変わり、子どもたちも私たちも新鮮な気持ちで過ごしています。

お互い、もうすっかり慣れて、ずっと前からこのグループで行っているかのようです。


ところで、ビリーブ(キッズ・ジュニア)では、1年間のまとめを文書にてお渡ししています。

それは、臨床の経過や結果をまとめ、それについて評価を行い、具体的にどのようなサポートが効果的なのかを、アドバイスさせていただいています。


例えば、あるお子さんがことばの読み書きや発音に課題があるとき、以下のようなコメントを行っています。


◎Aくんのことばの読み書きや発音の課題について

<経過と課題>

話しことばと書きことばが一致しないことが多く見られる。例えば、「からだ」と言いながら「かだら」と書く。

また、「じてんしゃ」と発音しながら「じゃでんしゃ」と書く。
特に、拗音が入ると難しくなる様子が見られる。

カタカナ語の表記では、「チョコレート」と聞いて「チッコレート」、「ジェットコースター」を「ジコウター」、「リュックサック」を「リックサク」、「アイスクリーム」を「アイスクーリム」、「ジュース」を「ジーュス」など、聞き取った音と表記に違いが見られる(聴き分ける力に課題が見られる)。

他にも、「へび」を「えび」、「きゅうきゅうしゃ」を「きうしゅうしゃ」と書く様子が見られた。

てぶくろを、「てぶくもの」と書いたとき、自分で発音し間違いに気づいて「てぶくろ」と書き直すことがあった。

自分が書いたものを読んでみることが大切である。ただし、「ひとさしゆび」と聞いて「うとさしゆび」と書き、発音も「うとさしゆび」と言うなど、発音の不確かさや聴覚記憶の課題が見られる。


発音の改善のためには、以下の課題が有効である。

<発音の不明瞭さを改善するために>

@吹く力、吸う力を育てる
・各種吹く楽器、シャボン玉、吹き戻し(毛笛、三方毛笛)
・ゼリーをストローで吸って食べる
・ストローでぶくぶくする、フエラムネを鳴らす、ピンポン玉を吹いて穴に入れる
・手のひらに乗せた紙ふぶきを吹き飛ばす
・ろうそくの火を吹き消す、麺類をちゅるちゅる食べる

A舌の動きを育てる
・飴をなめる(特に棒つきの飴)

Bその他噛む力を育てる
・いろいろな食材のものをよく噛んで食べる(スルメ、納豆、濡れせんべい、大きいもの、胡麻煎餅、固いもの)
 ◎胡麻煎餅=胡麻を食べるときに舌をたくさん動かす

C声を出す練習を行う
・歌、早口ことば、ことばを出す楽器(カズー)、うがい(ガラガラ)


また、読み書きの力が育つためには、以下の活動が有効である。


<読み書きの具体的なサポート例>

・バラバラ文字を組み合わせる課題を行う(1文字ずつを組み合わせて単語を作る)

・正しく表記された単語を選択するワークを行う

・絵に合う単語(ひらがな、カタカナ)を書くワークを行う

・拗音(ぁ〜ぉ、ゃ・ゅ・ょ)、促音(っ)、長音(ー)を書き入れるワークを行う



以上、「1年間のまとめ」の例を紹介させていただきました。

他にも、以下のような項目(ねらい)についてコメントを行っており、保護者にお渡しするときには、全部で、A4用紙で1人6〜10枚程度となります。


・情緒の安定を図る
・安心して活動に参加することができる(自分に自信をつける)
・いろいろな活動にスムーズに向かうことができる(興味の拡大)
・一つの活動への集中力を高める
・知識を増やし物事への興味を高める
・活動の終点を明確にしていく
・活動の終わりで余韻を味わうことができる
・人前で表現する力を育てる
・嗜好性を育て、要求表現を増やしていく
・聴覚の過敏さを改善する
・認知の高まりを図る(因果関係の理解)
・身体の受け入れをよくしていく
・こだわりの改善を図る
・利き手の確立を図る
・姿勢の保持を高め、運動面のぎこちなさを改善する
・手指の操作性を高める
・自己コントロール力(調整力)を身につける
・いろいろな動作模倣を行うことができる
・相手とのやりとり場面や共感場面を増やしていく(要求と共感)
・相手に合わせる力を身につける(マイペースの改善)
・悔しい気持ちを受け入れることができる
・他者視点を育てる
・視覚−運動系の力を育てる
・視知覚や空間把握の力を育てる
・視覚系全般の力を育てる
・聴覚−運動系の力を身につける
・聴覚記憶や聴き分ける力を育てる
・記憶力を高める(記憶容量を増やす)
・イメージする力を育てる
・描画の力を育てる
・スムーズな情報処理の力を身につける
・概念の力を身につける
・全体向けの指示を聞くことができる
・言語理解力を高めていく
・発声や発語を促す
・ことばをスムーズに想起できる
・適切なことばの使い方を獲得する
・ネガティブな行動や発言を減らす
・内言語を育てる
・発音の不明瞭さを改善する
・吃音の改善を図る
・文字への興味を高め、ひらがなの読み書きを定着させる
・単語やカタカナ語の表記を定着させる
・文章の読解力を身につける
・文章を正しく話したり、作成したりする力を身につける
・国語学習の基礎力を育てる
・国語学習の基礎力・応用力を育てる
・数の概念を育てる(算数の土台)
・算数学習の基礎力を育てる
・算数・数学の基礎・応用力を育てる
・いろいろなゲーム(遊び)のルールを理解することができる
・冗談を受け入れられるようになる
・他者を意識し、一緒に行動する機会を増やしていく(社会性)



このまとめを受け取った保護者の方は、自分の子育ての参考にすることはもちろんのこと、学校や幼稚園・保育園・通園施設などの担任の先生に渡して、個別の支援計画を作成する際の参考資料として使っていただいています。

日頃の様子を詳細に記録し、それらを項目ごとにまとめていくことが、子どもを育てるためにいかに大切なことであるか…。

まとめを作成する時期(年度末)になると、改めて評価の大切さを強く実感する次第です。


皆さん、今月もよろしくお願いいたします。

2014年5月18日