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投稿者:カトちゃん
題名:頑張りすぎない
いよいよ新年度のスタートです。
この4月でビリーブは15年目となりました。
これまで数多くのお子さんと過ごすことができました。
その知見を、これからの実践に十分に生かしていきたいと思います。
今回は『頑張りすぎない』という特集です。
子育てや教育においては、どうしても「頑張らなくては」と思いがちです。
もちろん、目の前の子どもに対し、一生懸命になる気持ちはよくわかります。
しかし、本当に頑張る必要はあるのでしょうか。
子どもの成長はそんなに早く表れるものではありません。
とても時間がかかるものです。
そのため、いくら頑張っても、なかなか達成できないという状態が生じてしまいます。
人の頑張りは、ある程度目の前に目標が見えていなければそうは続かないのです。
しかも、大人の頑張りは「気持ちの力み」につながってきます。
つまり、リラックスしていない大人に対し、子どもはどうしても緊張感を覚えてしまいます。
家で一生懸命やり過ぎれば、緊張感を覚えた子どもは外の世界(学校など)で発散するようになるでしょう。
また、学校などで一生懸命やり過ぎると、強い緊張感を家で発散するようになります。
どちらのケースも、子どもにとって気持ちの負担が大きくなってしまいます。
保護者の方はそんなに頑張らなくてもよいのです。
発達障害など、いろいろな特性を持つ子どもの育て方はとても難しいものです。
だから、頑張ると言っても、専門家でない人の頑張りは、どうしても方向がズレていってしまいます。
私はかつて小学校の教員をしていました。
そのとき、「自分の子どものことなら何でもわかる、だから子育ても大丈夫」と言う保護者にときどき出会いました。
圧倒されるくらい、自信満々の様子でした。
その子どもたちはその後どうなっていったでしょうか。
全員とは言いませんが、多くは決してその後の人生をうまく過ごしてはいません。
数年後に不登校になったり、もっと先にひきこもりになったり…そういうケースを数多く見てきました。
頑張ってもうまくいくものではない、とそのとき実感したのです。
ではどうすればよいか。
まずは、保護者の方はあくまで保護者として子どもと接していけばよいと思います。
教育者としてではなく、保護者として接するのです。
その際、大人がリラックスすることがもっとも大切なことだと思います。
肩の力を抜き、自然に子どもと接する。
例えて言えば、NHKの朝ドラ『カムカムエブリバディ』に出演している主人公(大月ひなた=川栄李奈さん)のお父さん(大月錠一郎=オダギリジョーさん)のような振る舞いが理想的だと思っています。
ロンドンの発達センターの親面接では、専門家が「いつ夫婦でデートしましたか」「最近、夫婦で旅行に行きましたか」と尋ねるそうです。
日本の専門家も「平日に休みをとって夫婦でランチに行っていますか」と聞くそうです。
どちらも一見、子育てと関係なさそうな質問ですが、そこにはとても大切な内容が含まれています。
質問により、親がリラックスしているかどうか、そのことを親自身に気づいてもらうために、そのような質問をしているわけです。
子育ての前に、まずは親自身が人生を楽しむことが大切なのだと思います。
もう1点。
信頼できる専門家を作り、その人たちに大いに頼ればよいのです。
格好などつけず、すべてさらけ出して頼ればよいのです。
そのために専門家はいるわけですから。
私たちは、子どもたちの前で決して頑張る姿を見せません。
いつもひょうひょうと変わらぬ姿で立っています。
ときどき幼稚なギャグを言っては子どもたちに突っ込まれる。
そういう関係性を大事にしています。
学校の先生のようにきちんとはしていませんが、「セラピストだから先生らしくない」と思っていただければ幸いです。
どうぞ、今年度も何でもご相談ください。
子どもたちの前ではリラックス、保護者の相談には一生懸命お答えしたいと思います。
本年度もよろくお願いいたします。
2022年4月01日