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投稿者:カトちゃん
題名:「優しさ」と「細かさ」について
10月になりました。
随分、秋らしくなってきましたね。
毎日、教室の窓を何カ所も開け、気持ちの良い環境の中で授業を行っています。
多少の増減はあっても、まだまだ多くの感染者が出ています。
引き続き、感染対策に万全を尽くしていきたいと思っています。
今回は「優しさ」と「細かさ」について考えたいと思います。
よく幼稚園や学校の先生の中に、「優しさ」を重んじる人がいます。
表情も声も子どもに寄り添い、優しい声で話しかけるわけです。
それは、一般的には、とても大切なことだと思います。
しかし、発達障害など、あるタイプの子どもにとっては、「優しさ」は必ずしもよいことばかりではありません。
ある子が何かに困っています。
そのときに、優しく「大丈夫?」などと聞く先生がいます。
優しく寄り添い、場合によっては肩に手を置き、子どもと共に心配そうな時間を過ごすのです。
このサポートはよい結果につながるのでしょうか。
子どもにもよりますが、実はこのような対応は、特定の子どもを大いに混乱させてしまうことがあるのです。
実は、他人の気持ちを読み取ることが苦手なタイプの子どもにとって、優しく、一緒に心配されるというのは、とてもわかりにくいことなのです。
ただでさえ困っているのに、外部の心配が加わると、余計に心配は増えてしまいます。
結果的に、子どもはますます混乱し、それに対してまた先生が優しく心配するという、悪循環に陥ってしまうのです。
情動(心配)は伝染しやすいので、大人の心配が子どもにプラスされてしまうわけです。
子どもが何かに困っているときは、何で困っているのかを見つけることが先決です。
ある程度の距離感を保ち、あまり気持ちを込めすぎることなく、淡々と話を聞いていくことが、その子にとって最もわかりやすい対応になってきます。
つまり、いつも優しくしていればいいというわけではない、ということを私たちは知る必要があるのです。
次に「細かさ」について考えます。
発達障害の子に、あれこれ、細かく言うことは、子どもを大いに混乱させることになります。
「給食を残さず食べて」
「机の上をきれいにして」
「つめをかまないで」
「消しゴムで遊ばないで」
などなど。
注意をしたくなることばかりですが、これをいちいち注意していたら、子どもは参ってしまうことになるでしょう。
おそらく注意をしたところで、また同じことを繰り返すのではないでしょうか。
そう考えれば、「注意は効果がない」ということがわかってきます。
ではどうすればよいのか。
それは、注意は最低限に抑え、やるべきことを伝えていけばよいのです。
発達障害の子にガミガミ言っても、中身はほとんど入っていかず、ガミガミ言われたという印象だけが残ることになってしまいます。
そのため、「こうやってね」とできそうなことを提案し、やってくれたときに「すごいね」と褒めていくのです。
そして、注意はできるだけ少なく行うことで、子どもは少しずつ聞いてくれるようになります。
特に、給食に関しては、「残さず食べて」と言い過ぎることは、大きな問題があります。
発達障害の子の中には、感覚過敏や味覚過敏、あるいは鈍感な子がいます。
また家庭環境の問題もあります。
それを指導という形で強要すると、逆に給食を嫌いになってしまうケースが少なくありません。
給食の時間になると憂鬱になってしまうのです。
また、欧米では偏食指導がないと言われています。
苦手なものがあってもいいではないか。
そう考えることも、りっぱな教育活動だと思います。
この場合、「じゃあ頑張ってこれだけ食べようか」と小さな提案をすれば、十分だと考えます。
他の子に通用する指導方針を、誰にでも向けるということは、考え物だ。
私たちは常にそのように考えています。
一人ひとり違うメニューで教育を行っていくことが、子どもにかかわる者の使命だと考えます。
10月もよろしくお願いいたします。
2020年10月04日